曇りガラス
わたしの言葉に合理性はない
非合理な感情が自分を酔わしている
自分の言葉に自分と他人を酔わすことができるかもしれないが
でも、何を飲んだのか覚えられない
何かをいつも噛み砕いている
苦しんだり、悲しんだり
そんな虚しさがいつも最後に蘇る
いつものことなのにそれまでの最中、いつも同じ酔い方で
後に引く長い後悔にさらに酔う
そうしてまた飲み込んでゆく
遠い街に来ても心はものすごく近い
それでもまだ、この手に届かないのか
感情が、本当の姿の邪魔をして
また、素直になれない
わたしはこの心を未だ言葉にできない
本当の自分の姿は一円の金にもならない
本当の自分は今日の米粒ひとつも稼げない
心を抱えてわたしは飢え死にしないために昼間を演じている
まだ体は健康だし、トイレも近くない
もう少しこのカウンターで生きのびられる
喋ることが必要だったけれど
そこに言葉は存在したのだろうか
答えのないことが喋ることならば
それまでの言葉を覚えられないのは当然のことだろう
わたしは言葉を喋っていない
現実にはない空間を透明に向かって罵った
そこに写る自分はどうだろう
目を合わせていないからわからないか
電車の窓はスピードが速いな
信号機なんて線のようだ
自分なんてシミのようだ
雨の跡と、日向の光のようだ
この中に心を思い切り吸い込んで
漏れてゆく言葉がガタンゴトンと
ガタンゴトンと
ガタンゴトンと
(2017年 怠惰)