カテゴリ:詩( 47 )
詩 その47

曇りガラス


わたしの言葉に合理性はない
非合理な感情が自分を酔わしている
自分の言葉に自分と他人を酔わすことができるかもしれないが
でも、何を飲んだのか覚えられない
何かをいつも噛み砕いている

苦しんだり、悲しんだり
そんな虚しさがいつも最後に蘇る
いつものことなのにそれまでの最中、いつも同じ酔い方で
後に引く長い後悔にさらに酔う
そうしてまた飲み込んでゆく

遠い街に来ても心はものすごく近い
それでもまだ、この手に届かないのか
感情が、本当の姿の邪魔をして
また、素直になれない
わたしはこの心を未だ言葉にできない

本当の自分の姿は一円の金にもならない
本当の自分は今日の米粒ひとつも稼げない
心を抱えてわたしは飢え死にしないために昼間を演じている
まだ体は健康だし、トイレも近くない
もう少しこのカウンターで生きのびられる

喋ることが必要だったけれど
そこに言葉は存在したのだろうか
答えのないことが喋ることならば
それまでの言葉を覚えられないのは当然のことだろう
わたしは言葉を喋っていない
現実にはない空間を透明に向かって罵った
そこに写る自分はどうだろう
目を合わせていないからわからないか
電車の窓はスピードが速いな
信号機なんて線のようだ

自分なんてシミのようだ
雨の跡と、日向の光のようだ
この中に心を思い切り吸い込んで
漏れてゆく言葉がガタンゴトンと
ガタンゴトンと

ガタンゴトンと



(2017年 怠惰)
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by hasumaro | 2017-10-26 16:15 |
詩 その46

Neo Nostalgia


言葉はいらないか
思いはそこにあるのか
心はあるのか
それを伝える言葉はいらないか
その先にあるのは
その先にあるのは
それを越えたものなのか

魂はあるか
それは消えずに残っているか
それは思いか
それが心なのか
その先にあるのは
その先にあるのは
それを越えたものなのか

Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia

言葉はいらないか
それを伝える言葉はいらないか
魂はあるか
ここにあるものはもういらないか 
その奥にあるか
その先にあるのか
あの先に見えるのか

Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia

Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia

Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia

Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia
Nostalgia

Nostalgia・・・





(2015年 低温)
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by hasumaro | 2015-10-29 11:17 |
詩 その45

もう飯は食わない


心の中の思いが
体の中を通るうちに
思いもしない姿になって
口を伝って表に漏れる

頭の中の言葉が
喉の根本をうろつくうちに
思いもしない形になって
口を伝って溢れてしまう

思いを心の中にしまい込んで
言葉を喉の奥に飲み込んだら
わたしの価値は何なのだろう
わたしに価値があるのだろうか

人は死んだように生きることが出来る
何もせずにそこに生き残ることが出来る
埃が落ちるように歩くことが出来る
水溜りに映る顔を見ないでまたぐことが出来る
そこに価値をつけるのは他人だ
わたしが決められるのは明日の晩飯だけ
たぶんおかわりをするだろう

心の中にしまい込んだものは
やがて必ず狂いだす
言葉にならなかった思いは
大切なものを傷つける
手を伸ばしても届かない時
わたしはそれを初めて知る
それを愚かだと決めるのは自分
あなたではない

あなたではなかった

古い家の軒先に垂れた氷柱が
いつ落ちるのを待つか
海辺でこき使われた椰子の木の実が
あきらめて落ちるのを待つか
夕焼けはそれを教えない
ただ今日という日の幕を下ろすだけ
影の中でわたしの腹が減る

思いがここにあるというのに
言葉がここにあるというのに
必死に手を伸ばした振りをしたのは
腹が減ったのを隠すためだったのか
それでもわたしはおかわりをしたんだ

ごちそうさまでした

もう、飯は食わない




(2014年7月 捻挫)
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by hasumaro | 2015-01-23 13:14 |
詩 その44

これからどこへ


両目に悲しみを流してこれからどこへ行こうか
両目に淋しさを流してこれからどこへ行こうか
両目に思い出を流してこれからどこへ行こうか
両目に今を流してこれからどこへ行こうか

どこへ辿り着くのか
この果てには幸せが待っていると聞いたけれど
信じる時間などない
ただ、どこへ行こうか
大人になんかなりたくはない
子供のままではいたくはない
越えたい
通り過ぎたい
両目の中に流してしまいたい
そしてこのまま行こうか

両目に言葉が流れてゆく
両目に音が流れてゆく
両目の中に歪んでゆく
両目の中に沈んでゆく

溢れてゆく

手を握り返したい
温もりの中に永久のお前を閉じ込めたい
一瞬の快楽に打ち消された
最初の安らぎを永久にしたい
飯を啜る音
スープをなめる音
その中に全部が落ちてゆく
両目の中にそれが流れてゆく
そしてこのまま行こうか

両目の中に人はいらない
両目の中に傘はいらない
両目の中に雨は降らない
ただ流してゆくだけ

わたしを見つめたまま
わたしを見失い
わたしを見つける

流れてゆく




(2013年 呆気)
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by hasumaro | 2014-05-14 08:38 |
詩 その43

孤独を知らない


浮遊する埃は思いのほか鮮やか
腰を沈めるソファは知らぬ間に柔らか
目を閉じれば見慣れぬ光が射し
気持ちは思ったより平凡なもの
最後の日にはきっと優しくなれる
そう決めたらそれまでの日々を
知らない振りをして罪深く生きる

誰も孤独を知らない

最も愛しい人への優しさは
ほとんどが思いもよらない嘘ばかり
それでもお前の笑顔が戻るのなら
血だらけの嘘はそれほど痛くない
最後の日にはこのまま気づかれず
唯一の真実も葬りたい
それがきっと罪の正体だ

誰も孤独を知らない

難民が日陰で地べたの皿をなめる
子供は母乳も飲まず救援物資で命を繋ぐ
異人が母国の民族衣装を羽織って
異国の信仰を差し伸べている
国境沿いの教会はガレキ
このまま見つめていたいと願っても
誰のもとにも届かない

誰も孤独を知らない

嘘をつくために母のもとを去らず
嘘を重ねるために母のもとへ帰った
痛ましい親愛は罪の深さを刻み
えぐられた心の傷は嘘のように浅い
古い民家の古い家具のように
何度磨いても戻らない昨日までの垢
最後の日にはたぶんすべてが綺麗だ

誰も孤独を知らない

誰ひとり知らされちゃいない
誰ひとり気づかされちゃいない
誰ひとりそれを伴えない
ただのひとりもそれを知りたくはない
退屈と暇を持て余して
最後までこれこそが自由だと願った

誰も孤独を知らない

泣きながら笑ってみても
笑ったまま泣いてみても
すべては呆気なく遥か彼方へ遠ざかる
涙ぐましい求愛は何よりも滑稽に見え
無様であるほど悲しく映る
言葉が尽きた果てで景色だけを動かしてみる
無言のまま道路は叫びと祈りを置き去りにする
とうとう世界は音を鳴らすのをやめた
初めて耳を澄ました
何かが聞こえた気がしたけれど

誰も孤独を知らない




(1999年 寝言)
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by hasumaro | 2013-03-06 18:12 |
詩 その42

あなたの横顔


あなたの横顔は綺麗だ
わたしを見ていない時が一番美しい
笑顔はいらない
横顔がそこにあればいい
あるだけでいい

人の顔は言葉よりも伝わる
伝えたくないことばかりが
勝手に伝わってしまう
わたしは横顔があればいいと思う
余計なものはなくていい

風が吹くと目を閉じる
わたしは風になりたい
目に映らない風になりたい
そうしたらいつまでもそばにいられる
少し暖かくて柔らかで
そして冷たい風になれればいい

横顔には何も映らない
ただ薄暗くした部屋の重なり合った影が張り付くだけ
心の中は見えない
影の中に手を伸ばす
横顔は遠くて真っ暗だ
美しさはいつも悲しい

横顔が見詰める先はわたしには見えない
きっとわたしには見えないものが
その先にはあるのだろう
それを知ろうとすると横顔は美しくならない
知らないまま
遠くのまま
近くのまま
知らないままがいい
それが横顔だ

あなたの横顔だ





(2013年 佃煮)
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by hasumaro | 2013-02-21 17:04 |
詩 その41

わたしの心


絶望は美しさのためにある
なぜなら美しさは悲しいから
美しいままでいられないことを
ようやく今、知ったのだから

心の中に透明の水がある
水の上に心のかたまりが落ちてゆく
初めの波紋がすぐに重なり合い
どこが終わりなのかわからなくなる

美しさが水を凍らせる
そして折れるほど細く尖ってゆく
先端がやがて自分に向う
わたしの血の色は赤だけではなかった

そんなに単純ではない

やがて太陽の中に手を伸ばす
手の形の影が太陽の中に突き刺さる
わたしは両手を握り締める
手のひらには心が残る

心だけが残る
最後までそれだけが残る
失わないことを知っているのに
どうして傷ついてゆくのだろう

笑い声が聞こえる
面白くないのに笑うのは
きっと忘れたいことがあるからだ
そして気づかれたくないことがあるからだ

それともばれない嘘があると思うか
誤魔化せるのは満足できない胃袋ばかり
わたしはドーナッツを頬張ることだけが
この世に生き残る浅ましい手段だと思う

だけど死んでしまえるのなら
せめて同情くらいは頂きたい
美しく生きようとする者は
この世でもっとも傷つくことになるのだから
わたしはあなたの味方の振りをして
あなたの美しさを最後まで憎む
そして友達と遊びに行って
うらぶれた居酒屋で涙を流す
それだけが親をもだませるひとつだけの方法
母は笑ってくれます

笑顔と泣き顔はいつまでも似ている

それでも
心だけが残っている
心だけがいつまでもはなさない
わたしを心がはなさない
深く、奥まで
真っ赤に染まりながら
わたしの心
わたしの心
わたしの心
わたしの心・・・・・




(2013年 口取)
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by hasumaro | 2013-01-22 10:07 |
詩 その40

太陽が落ちた部屋


太陽がもう少し遠くまで届いたのなら
もう少し長くここに居られたんだね
太陽がもう少し遠くまで届いたのなら
君はもっと上手に笑えたんだね

もう少し遊んでいよう
時間はまた進んだみたいだ
それとなく楽しんだら
きっとその後はうつむいてしまうんだね
空はうなだれて
悲しい影を落として
母親のように淋しそうに
誰かの帰りを待っているね

悲しみについて考えたことがあるかい
笑顔は泣き顔なんだよ
笑うたび悲しくなるんだ
泣き顔を欺いているんだよ

もう少し遊んでいよう
どう? 楽しんでいるかい
どう? この部屋は気に入ったかい
気に入ってくれたかい

僕たちはこの世のモノなんだよ
気にしないでおくれ
僕が目を閉じるのは消えてしまうためじゃなくて
目を閉じたとしても君の姿が見えるからなんだ
僕たちは本当にこの世のモノなんだ
君がたとえそんな風に悲しそうな目で
僕を見詰めたとしても
僕も君と同じようにこの世のモノなんだ

だから泣かずにもう少し遊んでおくれ
もう少し遠くまで太陽が届けばいいのにね
そうしたらもっと暖かいのにね

悲しみについて考えたことがあるかい
涙は思ったよりも暖かいんだね
君は楽しそうだったね
でも笑顔はやっぱり泣き顔だったね

僕の手はもう冷たくなっていたかい
それが伝わるのは僕がこの世のモノだからなんだよ
永久に僕は君の場所で繋がっているんだよ





(1997年 小銭)
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by hasumaro | 2011-12-27 16:26 |
詩 その39

優しい蓮麿


わたしはやられてもやり返さない
わたしは殴られても殴り返さない
わたしの唯一の抵抗は無抵抗そのもの
やり返す武器は持たない
殴り返す勇気も持たない
やり返すことは争いを長くする
あなたはわたしを忘れることだ
なぜならわたしは優しいから

にらみ返すくらいなら土を眺める
粋がって歩くくらいなら池に落ちる
あなたが右に居ればわたしは左の壁を見詰め
壁紙に包まり嵐が去るまでシミになって濡れるだろう
誰かがそれを拭えばお礼を言うし
誰もが無視をすればホッとするだろう
わたしは生きる権利しか主張しない
なぜならわたしは優しいから

全裸の女を見ればその生い立ちに同情し
息果てる女の背中にタクシー代を置くだろう
愛情は共有しない方がすぐに終われる
わたしの無抵抗はあなたへの謝罪
土下座をするわたしの姿に
あなたはむしろ安心するはずだ
あなたはわたしの罪のかたまり
なぜならわたしは優しいから

傷ついた人々にわたしは頑張れとは言わない
立ち上がれずにいる人の真横でむしろ熟睡をする
わたしはわたしとして確かに存在はするが
わたしであることを主張することで発生する義務は背負わない
わたしはただ、わたしであるだけ
すべてを決めるのはいつまでもわたし以外のお前
それは生きるか死ぬかを決めるのもお前
わたしは何ひとつ昔から変わらない

わたしが変わることを恐れるのもお前
変えてはいけないと怯えるのもお前
わたしはただ存在することだけが意味
瀕死のお前に血を分けず頭を撫でることが理由
優しさが救いをもたらすことはなかった
誰一人バチが当たることもなかった
そこにわたしは生まれたことの意味を知った
わたしはそこに存在の理由を知った

わたしはお前の国であり
わたしはお前の領土だ
わたしはお前の土であり
お前がいつまでも眺める海だ
いつまでも透明の水だ
いつまでも濡れた地面だ
生きるか死ぬかをお前は決める
わたしは救いようのない優しさだけだ

涙はない
笑顔もない
影だけが映る
足音はない
足跡もない
匂いだけが残る
わたしをいつまでも忘れていてほしい
最後まで気づかないでいてほしい

なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから
なぜならわたしは優しいから





(2011年 炬燵)
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by hasumaro | 2011-12-06 13:25 |
詩 その38

ガラス


悲しみが染み込んでいる
体中が淋しさに慣れている
布切れのように涙が染み込んで
重たくなった体が泣きじゃくる

今夜あなたが落とす涙の器になろう

悲しみが溢れている
体中から溢れ出ている
もう染み込む隙間さえ無いほど
体中が冷たい

今夜あなたが落とす涙の器になろう

そしてポチャンと鳴るんだ
あなたの涙で醜く歪むんだ
笑ったように見えたのは波紋のせい
今あなたが溢れ出てゆく

涙の器は透明のガラス
雨の日に開く傘も無い
もうあなたのことを支えきれない
ガラス細工がひび割れている

今夜あなたが落とす涙で割れてみせよう

ふさぐ術もなく砕け散るだけの
涙とよく似た破片になろう

今夜あなたが落とす涙の器になろう

今夜あなたの涙で見事砕け散ろう





(1998年 越冬)
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by hasumaro | 2010-11-24 15:16 |



爆発する愛と欲の言葉達
by hasumaro
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