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伊藤ノック
本日は日本国民にとって記念の日である。なぜなら僕が生まれた日だからである。かっこ笑い。
バレンタインやらクリスマスやら終戦記念日やら様々な記念日があるけれども、最大の記念日ちゅうのは誕生日である、と僕は思っている。なんせ生まれてこない限り文句も愚痴も言うことは出来ぬし、飯を食って満腹になることも出来ぬからである。生まれてきたからこそ屁も放てるし匂いも立ち込めるのである。
統一地方選挙が告示されたらしいが、そら福祉やら年金やら景気やらも大事かも知らんが、各候補者には是非各国民それぞれの誕生日をそれぞれの祝日にする、ちゅうマニフェストを掲げて欲しいものである。というのは自分がこの世に生まれてきたことがいかに素晴らしいことかということが自覚できるし、「死にたい」つっておかわりしているような贅沢も生まれない限り出来ぬわけで、この場合、おかわりできることの素晴らしさを認識するべきだと僕は思うのである。ついでに昨今の世界情勢を見る限り、あえてわざわざ北朝鮮で生まれたかった、と思う日本人はよっぽどの被虐趣味者でもないかぎり皆無に程近いと思うし、ああ、日本に生まれてよかった、というような健全な愛国心も生まれるわけであって、現在の一部のような、愛国心を抱く者は右翼あるいは軍国主義者である、という、まるで童貞はインポテンツである、とでも言わんばかりの差別的傾向を程よく修正せんといかんと僕は思うわけで、というのは童貞にもそれぞれの理由があって、例えばホモセクシャルの人もいるだろう、この人が無理に婦女子と性行為をしなくてはならない国、というのは民主主義に反すると僕は思うのであり、愛国心があると右翼だ、なんつう論調自体がむしろ危険なのであり狂信的なのである。それぞれの価値観ちゅうのを尊重しなくてはならんわけであり、健全な愛国心を養うことによって真剣な批判も生まれ議論も活性化し、互いの意見を尊重しあってようやく差別はなくなるのである。これがアダルトである。アダルトちゅうのは感情を言葉によって伝えられる術をもっているはずだ。餓鬼というのは感情を言葉で表現出来ぬから、むむむ、となって手やら足が出て暴力や乱暴を働き、喧嘩の弱い者はそこから阻害され、実も蓋もないことを壁紙見詰めて呟くようなひねくれ者に成り果てるのである。困ったものである。これらが永久に続くと最終的に国が破綻する。各候補者は一時的に目立ってはしゃぐだけではなく、一刻も早く誕生日を国民の祝日にすべきであると思うのだが、しかしこのような大改革を公約する者は皆無であり、僕は今年も忸怩たる思いで投票に出向き、誰に投票したらいいかわからなくなって、むむむ、となって地団太を踏みしめながら自室に帰って壁紙見詰めてひねくれたことを呟くような気がしてならないのである。るるんぶ。
その昔、青島幸男だの横山ノックだの、所謂タレント候補ちゅうのが調子づいて当選した時代があった。町内で火事とかがあるとよく野次馬が集まるが、これらの野次馬ちゅうのはきっと退屈な人達なのである。なぜなら忙しいと他人の不幸にかまっている暇はないし、充実した日々を送っている人は他人の不幸を見物しよう、ちゅう悪趣味な気持ちを抱かないと思うのだ。しかし人間ちゅうのは暇を持て余していると「何か起きないかしらん」などとついつい思うもので、それが他人にとって不幸だの幸福だの気にせず、うほほ、などとほくそ笑んでスキップしてしまうものなのである。いやな人達である。これと同様で、国民が退屈すると、タレントがまぐれで知事になる、というような突拍子のない現象を目の当たりにしてみたくなるのである。このような気色の悪い欲求に応えるために汗やら鼻水やらを垂らして懸命に演説するタレントの姿は、僕などからすると一見不幸に映るのだが、しかしこの不幸こそ退屈な国民たちは望んでいるのだから始末が悪い。受かるはずのなかった、あるいは受かるつもりもなかったくせに結果受かって知事になってしまい、その後うろうろと知事公館をうろついて、冷たい薄笑いを浮かべた役人などとなるべく視線を合わせないようにしながら便所などに隠れて、永遠に止まらない小便を垂らす羽目になったりするのである。しかしこれもまた退屈な国民が望んだことであるのであり、タレント知事はこの苦痛に耐えなくてはならんのだからこの上なく同情する。とはいってもタレントの中にも政治に才能のある者がいるかもしらんから一概には言えんし、それこそタレントに対する差別になるかもしらんので僕はとりあえずこうべと屁を垂れるが、しかし実際、覆面を被ったおちゃらけたのやらが立候補すると、僕は国民の不幸な欲求に無自覚に応えているような気がしてならなくなる。このような欲求ちゅうのは決して幸福を招かないのだ。なぜならただの退屈しのぎだからである。責任なんてないのだ。責任を果たさぬ者は他人の庭先で堂々と立小便をする。そして庭の芝生を枯れさせても「俺の小便だけのせいとは言い切れない」などと開き直るのであるから困った尿道である。そうして訴訟などが起きて、裁判所で小便裁判が開かれ、小便した者と小便された者が不幸なやり取りを繰り広げる様を退屈なマスコミが退屈な国民に向けて報道するのだ。選挙もしかりで、つい先日まで政治に興味もなかったような餓鬼が一丁前にテレビで国を批判したりしやがり、しかしこれはマスコミ側の思想を餓鬼に代弁させることによってテレビの前で尻を掻きながらそれを眺めている一般の餓鬼どもをその気にさせるだけであり、つまり不幸を望んでいる退屈なマスコミのおっさんらが何も知らない無知な餓鬼を自分たちの退屈しのぎにつき合わさせているのであって、同時に餓鬼どもの方がおっさんらより頭が良くなると自分らの居場所がなくなるのであって、それはいやん、淋しいもの、なんつって餓鬼が欲求する、あるいは餓鬼どもに欲求させるように不幸を提供するのである。不幸を望む者はさらなる不幸を望むのだ。それがいずれ快楽になるのである。これを性癖の世界では被虐趣味というのだ。つまり変態性欲である。ドロップ・あはん。
こう考えると退屈ちゅうのは恐ろしい。人間暇になるとろくなことを考えないのだ。人の不幸は蜜の味、なんつうが、昔の人らはこれをユーモアを含んだ上で旨いことことわざに仕立てたんだろうけれども、現代の我々はこれを地で行っているのではないかしらん、あるいは本気で不幸の蜜味を味わっているのかもしらんのだ。美味い!つって。そういえば昨今のカレーはやたら辛い。あんなもの食って喜ぶのは肛門科のケツ医くらいのもんである。あれを美味いなんつって正気の顔で食っているなんてのはもう、舌が味覚が麻痺した証拠である。素材の味をゆっくりじんわり味わおう、なんつうのは面倒臭くなって、もっと直接的に直線的にダイレクトに判りやすく食いたい、辛いスパイスにもっともっとぶん殴られたい、という快楽的欲求なのかもしらん。わあ、恐ろしい。などと色々考えてみたものの先程からあるひとつの思いが僕の胸を疾走しながらUターンを繰り返している。その思いとは、こうして色々考えている自分という人間はよっぽど暇なんだな、退屈なんだな、という思いである。僕がもっと忙しい人間であればこんな面倒臭いことを考える時間もないわけであり、これは確実に自分が暇であり退屈である証拠なのかもしらんのだ。うがぁ。こんなことを考えると自分がいやんになる。駄目だ、駄目だ。何も考えてはならん。そうだ、忙しいことしよ、と思い立って安い椅子から尻を持ち上げたのだが、いかんせん気持ちが忙しいことをしたくない気持ちであって、忙しいことをしなくてはならん焦りと、忙しいことをしたくない気持ちとの間で僕は身動きが出来なくなり、椅子の上で尻を持ち上げたままぷるぷる震えながら、およそ3時間半耐え忍んだのである。かしこ。
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by hasumaro | 2007-03-23 14:05 | エッセイ



爆発する愛と欲の言葉達
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