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恥割り焼酎、翌日風味
日本列島に台風が上陸しているようである。従って天気も悪く、僕の気分も便乗してちゃっかり薄暗い。
天気が悪いと気分が薄暗くなるのは、豪華なディナーを食卓に並べられようとえんこの匂いを嗅がされた途端食欲が減退するのと論理的に同じである。内閣総理大臣が頻繁に交代すると国民が不安になるのも又然り、税金が増税されるとのん気にデザイナーズ・ブランドの新作コレクションを物色する余裕も失い、無名デザイナーのノン・ブランドの旧作コレクションを値が下がるまで待ちわびるのもこれ又然り、である。
僕のような捻くれた上に臍が曲がった挙句めり込んだ男は、日常に多少の薄暗さがある方が丁度良い場合がある。例えば毎日太陽が燦々と照りつけ、群集が一斉に陽射しの中をスキップするような日々が続くと言い知れぬ疎外感を抱いてしまい、ついついこの瞬間に集中豪雨を浴びせつけたくなったり、僕個人の疎外感と共にスキップの一群さえも流し込み、どこかに消え去らせてしまいたくなる。スキップ側からすると実に迷惑な男であるが、その太陽が作り出す人々の心の開放感というか、思慮や想像を拒み眼前の快楽を優先させるような、そんな人々の気分の高揚感が醸し出す雰囲気にエロスが芽生える以前の少年時分からなぜか馴染めないのである。溶け込めないのである。
かといって毎日が薄暗いのもこれイヤン。例えば出かける用事がある日に限って大雨が降ったり、全裸になった日に限って気温が氷点下になったりすると、普段信じぬくせに神様を呪ったりする。やはり太陽の陽射しもいいものであり、しかし一方でたまに薄暗さを望むのである。これはどういうことでしょう。疎外感というのはどこからやって来たのでしょうか。僕は祭りが好きである。しかし率先して御輿を担いでわっしょい叫んだり、ふんどしを巻いて尻の左右をさらに左右に振ったりはしない。ひっそりと日陰に佇んで、綿菓子を舐めながら「ほほう、活気があるねぇ。市民の活力を感じるよね。ほんと」などと呟きつつ微笑むのが好きなのである。つまり中心と一定の距離を保ちつつ中心に渦巻く流行を眺めていたいのである。言い換えれば客観的に観察しながら間接的に中心に触れるだけでいいのである。だから中心に巻き込まれ直接的に渦の中に参加してしまうと、客観性を失った挙句冷静さをも失うことになり、これはある種の興奮状態を意味することになる。興奮してしまうと今度、興奮中の自分を客観的に見詰めるもう一人の自分が中心の外に出現し「お前は馬鹿だねぇ。興奮して」なんつって自分で自分を小馬鹿にするもう一人の自分によって被虐的な欲求を感ずるようにさえなり、そうしてさらなる馬鹿な真似及び阿呆な真似を体現せしめてみたくなったりもし、ますます自分で自分を馬鹿及び阿呆にし、ややこしい自我が渦の中にめり込んでゆくのである。もう一人の自分と興奮する自分。どっちも自分であるが、もう一人の蓮麿は明らかにこれ冷静であり、冷静な自分が見詰める興奮した蓮麿は実に気色が悪い。キャバクラなどに行って場内指名などをして屁を垂れながらホステスの到着を待つ蓮麿の姿はもう万死に値する。そんな蓮麿は見たくない。自己愛と自意識のせめぎあいが僕の中で羞恥心を巨大化させる。とても御輿を担いで興奮などできない。ふんどしを巻いてスキップなどできない。これが疎外感の正体である。太陽、これ以上わたしを照らさないでおくれ。
昨今、禁煙活動なんつうのが流行している。便乗した政治家が煙草税を値上げしようとしているらしい。健康のためだなんつってのたまう政治家が、国民の健康を害するはずの煙草の税金を引き上げるというのは笑止千万である。なぜなら本当に健康を心配するのならば煙草を禁止すべきである。僕は愛煙家というほど愛していないが喫煙しているただの煙草中毒者であるが、煙草をやめなければ明日死ぬ、と言われればきっとやめるであろう、生に対する人並みの執着心もある。煙草が寿命を縮めかねないのであるならば、そら是非とも禁煙したいものであるが、これ未だにやめられない。百害あって一利もないのならば煙草などこの世から抹殺させてしまえばいいのだろうが、なして僕という男はやめられないのかな?これは多分「不健康なことをあえてしてみたい」という捻じ曲がった欲望が存在するためだと思われるのだ。中学生時分、煙草はもとよりシンナーを吸引するのが流行したり、ガキの分際で酒盛りしやがるガキまでいやがった。早く大人になるためには体に悪いことをした方がいい、と多分信じていたのだと思う。大人の特権と言えば煙草に酒、そしてセックスである。セックスを除いて他はやりすぎると必ず健康を損なう。シンナーちゅうのは多分そんな大人への憧れを過剰に表現してしまった結果だろう。つまり大人になると堂々と不健康なことができる、その特権に憧れたのである。煙草を吹かす大人に、酒を呑む大人に、ガキにはない人間としての深み、奥行きを感じたのである。真っ当な道しか知らぬ者より裏道に詳しい者の方が人生に揉まれている感じがするような、少女が抱く不良への憧れのようなものなのか。煙草中毒の根本にはそんな少年少女の思春期めいた思いがあるのだろうか。大人になりなさい。はい。
僕のように人並み以上に長い思春期を経験した大人は、生活の中に少しの不健康さがある方がしっくりくる。なしてかというと、生への執着心を世間に大々的にアピールしたくないからである。僕の羞恥心が僕に不健康な趣向をもたらしたのである。それがひるがえって昨今の禁煙ブーム及び健康ブームに疎外感を抱くことになるのだから実に面倒臭い男であるが「もう面倒臭いから死んでしまえ」と言われたとしても僕はきっと死なぬ。これが蓮麿の蓮麿たる所以であり、「生きたい、長生きしたい」と常日頃アピールして生き長らえるより「必ず死んだる」とそっと呟きつつちゃっかり余生に至るのがしっくりくるのである。生きることと一定の距離を保ちつつ死なぬのがいい感じなのだ。何がいい感じなのかは知らんが、不健康なことをちょっとしながら、平たくいうと居酒屋でユッケとレバ刺を同時に食いながら食後に胃薬を飲んで芋焼酎をおかわりする。このさり気なさがいい感じなのである。あはん。
昨今の我が国は興奮状態の中にある。各々の権利を激しく主張することで相手方が対応に苦慮し不意に失言などをしでかしたら最後、社会に吊るし上げられたうえにあらゆる媒体を通じて見世物にされる。それこそが彼らの勝利である。勝利は集団で味わった方がいい。すでにそれが目的なのだから。勝利の美酒には酔えたか?しかしそこに何ら解決はない。答えがないのだ。答えをよこせというのなら独裁者を探した方がいい。たった一つ限りの答えをくれるはずだから。いくつもの震災、事故を一気に経験しすぎた我々に冷静になれというのはそもそも酷な話か。しかし悪党が捕まらないために搾り出す知恵は残酷なほど冷静なものである。いつまでも興奮ばかりしていられない。うかれてスキップしているうちにすべてを失うこともあるのだ。世界は底なしに広いが、悪意は針の穴ほど狭く、そして針先以上に鋭い。僕の気分は薄暗く、尻の奥はさらに黒い。今朝の屁の匂いがひたすら臭かったのは二日酔いだからである。未だ勝敗のつかぬ酒は体に残り続けるものである。たぷん。かしこ。
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by hasumaro | 2011-09-22 10:56 | エッセイ



爆発する愛と欲の言葉達
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