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2014年、胃袋の旅
2014年てことは2000年から14年経ったということである。当たり前ではないか。
2000年の手前、すなわち1999年、ノストラダムスという昔の人が人類滅亡するよ、今年の7月に。ていう予言をしたせいで、1999年当時の人類はやばいよやばいよと騒いでいた。結果は諸君が承知の通りまったく絶滅せずちゃっかり生き残り、ともすれば繁栄さえし、僕などは昨夜かぼちゃの煮込みと塩辛で晩酌さえした。甲類焼酎で。
近頃でいえば2012年の12月にマヤ文明という昔の文明の人らが人類滅亡を唱えていたらしく、滅亡するかも。という説が囁かれていた。あれから一年と少したった人類はマヤのことはすっかり忘れて今日も自分らの文明を築いている。重ね重ねちゃっかりしたものであるが、これからも人類は生き残り、地球の中で色んな事件を起こしたり、吹いたホラがばれたり、暴力を振るったり、えんこをしながら文明を築いてゆく可能性が高いのである。
1999年当時の僕の周囲には、ノストラダムス氏を信じて人類滅亡を望んでいる人が少なからずいた。数人いた。その数人の共通は、僕の眼球に映っている限りで見ればどちらかというとうだつの上がらない人が多かったように思ふ。具体的にいえば無職、収入の少ない人、婦女子に注目されない井出達、包茎、童貞等、そんな感じの人が多かったように思ふ。僕自身は収入は少なかったが少ないことになれた生活をしていたのでそれほど苦にならず、少数であったが婦女子に求められた夜もあったので、そんな夜には「滅亡したらいやん」と思うことさえあったほどである。そうしたこともあってノストラダムス氏を信用するに至らなかったのだけれども、逆から言ってみると、ノストラダムス氏自体がうだつの上がらぬ人であったのかもしらん、とも思ったりもした。思ったりもしているうちに7月は一瞬で去り、年を終え、気づけば2000年。ミレニアム、ていうそれまで聞きなれぬ英語が流行り、ミレニアムを祝う歌が山のように溢れ、これまであまり売れなかった歌手がミレニアムを祝うことで一瞬売れたりし、挙句の果てにはミレニアム料理、ていうのも出てきて、田舎のうらぶれた定食屋までもが一瞬繁盛したりもした。そうこうするうちミレニアムを終え、気づけば今年で2014年。天ぷらも喉を通らぬ年頃となった僕は正月休みを終えた今、胃がもたれ続けている。ちゃぷん。
年月が過ぎるのは実に早くないか。僕は早いと思ふ。13年前に購入した僕の自家用車は購入した時あれほどびかびかだったのに今では鉄屑数歩手前くらいに古びてしまった。以前は早朝からカツ丼を喰らえたほど強力・強靭な胃をしていたが、今では飲むヨーグルトを飲むのが精一杯である。おまけにカラ酒歓迎なくらいにアルコールに愛されていた僕の肝臓が、今では少量の肴、なかでもお漬物やお浸しといったたぶん極限まで身体に害のない酒肴と一緒に飲酒しないと悪酔いさえするようになってしまった。おっさんの特徴ともいうべく同じ話を何度も繰り返すという行為を知らぬ間にするようになり、昨今では妻にさえ聞き飽きられ、とうとう独り言さえ多くなってしまった。年月が過ぎたせいである。過ぎるのが早いせいである。待って。といっても年月は待ってくれず、一瞬で過ぎ去りやがる。過ぎるのが早すぎるので思考と肉体が準備出来ぬまま追いつかず、気づけば劣化しているのである。かつての輝かしい蓮麿の残像を脳裏に貼り付けたまま、頭と体がひたすら劣化していく。劣化の速度に魂が追いつかない。残像はもはや思い出の類に変わり、過去の栄光のごとくちんけな事柄が美化されてゆく。自分はもっとすごかった。すごい蓮麿だった。などとかつての自分の姿がすでに歴史の一部のようになり、そこにセンチメンタリズムさえ抱くようになる。遠い蓮麿の姿に哀愁すら感ずる。切なく笑う僕。そして泣く僕。
過去は過去。俺は振り返らずに前を見続けるぜ。というようなことを昔言ったことがある。たぶんどこかの安いスナックのホステスさんあたりに言ったであろうかつての台詞が懐かしい。しかし冷静に考えてみると、そもそも僕の過去はそれほど輝かしかったであろうか。否、てんで輝いていなかった気がする。ていうのは過去を振り返るたびに夜寝られなくなったりする。恥ずかしいことやむかつくことを思い出したりして一人で赤面あるいは立腹して夜が深まるにつれて目が覚めてしまうのである。あながち過去は過去、俺は振り返らずに前を見続けるぜ、ていうことは正解なのではないか。そうすることで夜しっかり眠られるし、眠られることでビジネスも捗る。捗ることで出世もするだろうし収入も上昇して暮らしが豊かになり、でかい買い物をばんばんして経済が好転し国が世が繁栄する。そうして我が人類は文明をさらに高め、未来永劫果てしなく築かれてゆく。僕らの文明、あはん。しかしどうして。自家用車は古びてゆくし、買え換える銭も足りぬ。ガソリンは高いわ家賃は高いわ飯は高いわ酒も高い。息をするだけで金がかかるこの世。屁を透かしてもタダにはならない。過去を振り返らぬと言ったからって文明が栄えない。ともすれば滅亡するかもしらんではないか。そんな現実が僕の心を不安にさせるせいで、ほら不意に過去を振り返ってしまう。振り返ると蓮麿。笑っていやがる。嫌な笑い顔だ。そうして赤面あるいは立腹させられ今夜も眠られず、ビジネスに悪影響を及ぼして収入は増えず、とうとう草を食う羽目になるのである。ますます悪循環。文明が眼前でめり込んでいる。
しかしね、僕だって百まで生きられるはずがない。たぶんその前に死んでしまう。いくら文明がめり込もうとめり込んだまま年月が過ぎ去り、僕をあの世へ送るのだろう。なんだか人類て切ないよね。人間て滑稽だよね。悲しい。なんだか悲しい。「アベノミクスの馬鹿野郎」と叫んだ独り言が涙のせいで喉の根元に引っかかる。引っかかったまま食道の中を滑り落ち、胃の中にちゃぷんと落ちた。胃の中にあぶくが立ち、そして波紋が広がった。波紋に映った僕の顔が歪んで見える。歪みすぎて泣き顔のようにも見えるし笑い顔のようにも見える。しかし間違いないのは、それは過去の顔ではなく2014年の顔であった。かしこ。
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by hasumaro | 2014-01-16 08:55 | エッセイ



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