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胃と膀胱のアプローチ
スポーツの中には団体競技と個人競技というのがある。というかそのふたつしかない。というか二人でやる競技は団体と言えるのか。でも二人競技とか複数競技とかペアあるいはカップル競技というのは聞いたことがない。従って一人じゃない限り団体ということになり、そもそも二人を個人とは言わんではないか。即ち二人以上が団体競技で、たった一人でやるのが個人競技、ということになる。
僕という男の生い立ち、体験、経験等により形成された性格が関係しているのか、団体競技というのが実に苦手であるのだが、苦手である原因というのが集団の中には必ず嫌なやつ、悪いやつ、嫌いなやつ、臭いやつ、漏らすやつ、などが混ざるからであり、そのようなやつらと関わるのが嫌な僕は必然と団体競技が苦手となったのである。競技の内容以前の問題だが、得てして団体競技というのは人間関係が深く影響するのである。
そんな僕が、なんの因果か血迷ったのか、野球という団体競技をやったことがあるのだから呆れたのに屁が出る。野球というのは実に人間関係が深く関わる競技であり、集団でひとつの目的を果たすためにあらゆる規制を設け、そこからはみ出るやつは補欠あるいは二軍あるいは解雇となる。例をあげると、大抵少し肥満したやつはキャッチャーをやらされる。たとえピッチャーをやりたくても絶対にやれない。テストさえしてもらえない。理由はただひとつ、でぶだから。いつからでぶはキャッチャーという法則ができたのか調べていないので知らんが、当時僕もでぶはキャッチャーと信じていたものだ。それから身長の低いやつはセカンド。打順は二番。これもいくらファーストを守りたいだの、四番を打ちたいだの駄々をこねても駄目で、絶対に二番セカンドなのである。同じく理由は知らない。あるいは背の高いやつはピッチャーだとか声のでかいやつはランナーコーチャーだとか、何だか知らんが当時の僕もそうした根拠のない法則を、まるで神の審判かのように疑うことなく信じ込んでいたものだ。アーメン。
でぶもでぶで特に主張、反発もせずキャッチャーをやるのだが、冷静に考えると実に差別的なポジショニングである。人間というのは個人でいると差別がない。なぜなら一人だから。集団になると必ず差別があるもので、しかしその差別に慣れると疑わなくなるのだ。つまり差別が当たり前になり常識になる。常識になってようやく疑問を抱かなくなり、集団の一部になれるのだ。野球というのはこうして、ものすごく根源的な人間関係に左右されて成り立っているスポーツなのである。
もっというとあきらかに下手糞なやつがレギュラーを獲得することがある。理由はそいつが監督の息子だったり親族だったり、コーチの長男だったり、発言権を持つチーム・スポンサーの甥っ子だったりするからである。ここまでくると談合というか裏口入学的であり、コンプライアンス違反である。そんならいくら頑張って練習しても、明らかにその身内らよりも上手くてもレギュラーにはなれん。悪しき慣習、権力の乱用、野球というのはブラック企業のようなものではないか。ということになる。
人間関係というのが一番悪く作用した場合、ブラック企業のようなものを生む。それが人間の社会である。僕にとって団体競技というのはその競技における実技以上に人間関係のストレスがでかいものだった。だからやめちゃった。
一方でそうした悪しき慣習、権力の乱用を、悪しきものだ、乱用だ、と一切思わないやつも出てくる。つまり権力側に迎合するやつである。そのようなやつは大抵後輩をいじめる。そしてでぶをキャッチャーにする。ピッチャーとしての能力を試さず、キャッチャーだと差別をするのだ。僕はこのようなやつが嫌いだった。このようなやつが嫌いなまま大人になったので、現在もブラック企業は嫌いである。でも悲しいかな、人間は蓮麿ばかりではないので、場合によっては僕のほうが阿呆あるいは馬鹿、ということになり、翻って僕が差別的と言われたりしちゃう。困っちゃうが、野球をしているやつ、したことあるやつ全員を嫌いなわけじゃない。ただし、僕はこのような経験・体験をし、それに基づいて嫌いなやつを書いたのであって、野球選手を差別したわけではない。というようなことを言っても一度むかつけばしばらくむかついているのが人間であって、その人間らが固まってやっているのが野球であり社会そのものなのである。僕もその一部に過ぎないのだ。ここから超越したい人は新たな神様のひとつでも作らなくちゃならなくなる。実に人間というのは無限にややこやしく、面倒である。ほんと。
で、で。数年前から他人にのせられてゴルフという個人競技をやっているのだけれども、これがちっとも上手くならん。そして心の底から自然と沸き立つくらいの「好き」という気持ちに未だ出会っていない。どちらかというと嫌いなほうに近い感じがしている。仕事の関係だの大人・おっさんの付き合いだの何だのがあって補欠に回るわけにいかぬ事情があるのだけれどもこれ、自分は実は個人競技にすら向いていないのではないのか知らん、と最近薄っすら思っている。アイアンだか何だか知らんが、長い耳かきのような棒を振って玉を飛ばして「ナイスショット」とか言っているのが底冷えするほど白々しい。下手糞なくせにクラブ買い替えようかしらんとか、嵌った振りをしているのが空々しい。何というか、言いし得ぬ薄ら寒い悪寒を感ずるのである。これは何という感覚なのだろう。初めてセックスをした後、しばらくの間婦女子を舐めて見下す、という男の潜在意識に潜む筋肉的・マッチョな本能めいたものに近い。ゴルフをやれば大人・セレブ。やれない連中へ差をつけた気になる、この屈曲した優越感。若い頃のハングリー、不条理へ対する反骨・反発心とは真逆の気持ち。これを抱くと大切だったはずの自分の心の核を失うのではなかろうか、という焦燥感。そんな色んなものを複雑に複合的に一斉に抱きつつアイアン・ショット。こんな精神では上手くなるはずがない、と思う。ゴルフというスポーツに、ソープランドに行って風俗嬢に説教しつつ延長するおっさんのような、快楽の果て、道楽の最果て、精神を失った、ただただ本能が剥き出しにはみ出た、動物めいた、しかし同時に実に近代の物欲めいた人間の正体が出現しているとすら僕は本気で思う。だからスライスするのである。加えてフックするのである。最後にシャンクするのである。ぐいん。
で、で。本来スポーツというのは僕がゴルフに抱く劣等感と嫉妬を足して2で割り込んだような不健全な気持ちでやるものではなく、むしろこのようなストレスを発散するために行う健全的な行為のはずである。僕は健全になりたい。なろっと。いっそカーリングでもしたろかしらん。などと根拠も思想もなく場当たりに思いついて、自宅の眼前にあるカーリング競技場へよちよち歩いて行ったのだけれども、そこはやはり団体競技。団体を肯定する人々の雰囲気が僕を打ちのめすほど漂っており、当然その中に溶け込めそうにない心境を瞬時に抱いた僕は足がすくんで一歩も動けなくなった。そして、一歩も動かぬまま日が暮れ、カーリング競技場の電灯が消え失せ、残ったのは背後のネオン。僕は漠然と踵を返して、綿埃のようにふわぁ、とネオンの中へと歩き出し、潜った居酒屋の暖簾の先で焼鳥とおでんと芋焼酎を交互におかわりしながら、ヤンキー出身のような容姿の若い店主に「いやぁ、君もゴルフ始めればいいのにぃ」などとほざいたのだから呆れた屁が匂い立つ。かしこ。
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by hasumaro | 2014-06-12 12:40 | エッセイ



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